クループ(声門下喉頭炎)
「夜中に突然“ケンケン”というような咳をする」「息がゼーゼーと苦しそう」「泣き声がかすれてきた」
このような症状がある場合、**クループ(声門下喉頭炎)**の可能性があります。
主に生後6か月〜3歳頃までのお子さまに多く発症する病気で、突然の呼吸苦や咳に保護者の方も不安になることが多いです。
当院では、小児耳鼻咽喉科を標榜し、日曜診療にも対応していますので、お子さまの急な咳や声枯れなどの際には、安心してご相談いただけます。
クループ(声門下喉頭炎)とは
クループは、喉(のど)の奥、特に声門の下部に炎症が起こることで、空気の通り道が狭くなり、犬が吠えるような乾いた咳(クループ咳)や呼吸困難を引き起こす病気です。
正式には「声門下喉頭炎(こえもんかこうとうえん)」と呼ばれ、ウイルスによる感染が主な原因となっています。
クループの主な特徴
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夜間〜早朝に症状が出やすい
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急な発症、咳や呼吸困難でパニックになることも
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幼児期に多く見られるが、まれに大人でも発症する
クループの症状について
お子さまに見られる典型的な症状は次の通りです。
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犬が吠えるような咳(ケンケンという音)
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声のかすれ、声が出にくい
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息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」する(吸気性喘鳴)
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発熱(微熱〜高熱)
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呼吸が苦しそう
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息を吸うと胸がペコペコへこむ(陥没呼吸)
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泣き声が弱くなる
注意が必要な兆候
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唇が紫色になる(チアノーゼ)
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飲食を嫌がる、水分が取れない
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呼吸がどんどん早くなる
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ぐったりしている
このような症状が見られる場合は、すぐに受診が必要です。
クループの原因
クループは多くの場合、ウイルス性の上気道感染症として発症します。
主な原因ウイルス:
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パラインフルエンザウイルス(最も多い)
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RSウイルス
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アデノウイルス
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インフルエンザウイルス
風邪のような症状から始まり、次第に咳や声のかすれ、呼吸苦に移行していきます。
なぜ子どもに多いのか?
幼児は喉の構造が狭く、気道が細いため、炎症によってすぐに呼吸がしにくくなるためです。
クループによって引き起こされる合併症
クループは、ほとんどの場合は軽症で自然に回復しますが、時に以下のような合併症を引き起こすことがあります。
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急性喉頭気管支炎
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細菌感染による重症化
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呼吸困難による酸素不足
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夜間の呼吸停止(ごくまれ)
重症例では、入院や酸素吸入が必要となるケースもあります。
クループの処置や治療法
当院では、症状の程度や全身状態を丁寧に観察し、以下のような治療を行います。
1. 症状の評価と呼吸の安定化
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呼吸状態や酸素飽和度の測定(必要に応じて)
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意識レベルや活気の確認
2. 吸入治療(ネブライザー)
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炎症を抑える吸入薬(例:アドレナリン)を使用
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当院ではネブライザーコーナー完備で、迅速に対応可能です
3. ステロイドの投与
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軽症〜中等症の場合、内服ステロイドを使用することがあります
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呼吸状態が悪い場合は、注射での投与が必要なこともあります
4. 解熱剤・鎮咳薬の処方
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発熱や不快感が強い場合に使用します
5. 入院が必要なケースの判断と連携
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呼吸困難が強い場合は、連携病院へ速やかに紹介いたします
クループについてのよくある質問
Q1. 夜中に急に咳き込んだらどうしたらいいですか?
A1. まずはお子さまを落ち着かせて、体を起こし気道を確保してください。可能であれば、湿度のある環境(加湿器・湯気など)に移動すると楽になることがあります。それでも苦しそうな場合はすぐに受診をおすすめします。
Q2. クループはうつりますか?
A2. はい、ウイルス性のため飛沫感染します。ご家族間での感染予防に、手洗い・マスク・咳エチケットが大切です。
Q3. 繰り返しますか?
A3. クループは繰り返すお子さんもいます。特に秋〜冬にかけて発症が多く、体調や気候の変化に影響されやすいです。
Q4. 予防法はありますか?
A4. 特効的な予防法はありませんが、**うがい・手洗い・予防接種(インフルエンザなど)**を行うことで、発症リスクを減らすことができます。
院長より
クループは、小さなお子さまが急に呼吸しにくくなるため、ご家族が非常に驚かれる病気です。
多くは軽症で済みますが、呼吸の様子がいつもと違う、咳が変だなと感じたときには、できるだけ早くご相談ください。
私たちふくしまみなと耳鼻咽喉科では、小児の呼吸器症状に対応できる体制を整えており、ネブライザー吸入や迅速なステロイド治療も可能です。
また、日曜日診療やWEB予約にも対応しているため、夜間や休日明けのご相談もスムーズです。
名古屋市港区のほか、中川区・熱田区・南区・蟹江町などからもアクセス良好(港北駅徒歩2分・駐車場31台完備)です。
お子さまの「いつもと違う咳」や「声のかすれ」があれば、お気軽にお越しください。